昨日、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が、英国債の格付け見通しを安定的からネガティブにした。引き下げの確立は3分の1程度のようだ。これを受け、英国市場は株安、債券安、ポンドや安のトリプル安となっている。先行指標の英国がこの状態であるので、米国債も同様ではないかと考えている。
現在、米国の現在の国債の発行残高は約1,100兆円。政府系住宅金融の5百兆円を加えれば約1,600兆円となる。現在表明している金融・経済対策で今後必要な資金は最低約200兆円である(IMFの2月末の試算では約900兆円必要ともいっているが・・・)。あわせると負債は1,800兆円でGDPの約1.3年分となります。
日本政府の負債はGDPの約2年分であるが、債権国なので国内の資金でファイナンスが可能である。一方、米国は日本とは逆に対外債務国なので、新規の発行分は海外に買ってもらわないといけない。
買い手はいるのか?
現在、米国債の最大の保有国は中国で77兆円、次に日本で69兆円である。毎月中国、日本を中心に世界で5兆円(年間60兆円)米国債を買い増している。次の買い手はFRBで3月には30兆円の米国債買取を表明している。あわせて90兆円の買い需要はある。200兆円の新規発行にはまだ、110兆円足りないので、結局はFRBが米国債の買取枠を増額せざるを得ない。(IMFの試算である900兆円必要となると、金額が大きすぎてハイパーインフレの可能性も否定できないので、FRBを持ってしても無理であろう。)
どちらにしろ、近々あと100兆円規模のFRBの買取は実施されることから、更に100兆円のドル紙幣がばら撒かれることになる。問題はその後だ。これ以上FRBが支えられないと見透かされた時、米国債の暴落がおきる。米国債格下げはこの直後に発表されるであろう。事前に米国債を格下げするのは格下げ発、金融パニックを招くので、慎重にならざるを得ないのである。
ドル紙幣ばら撒きによるドル安から米国債暴落まで、何が起こるにしても、ドルの価値と逆相関関係にある金は買いであろう。
<参考>米国債の金利は上昇中(価格下落)で、10-30年債スプレッドは拡大し、イールド・カーブはスティーブ化と市場も厳しい見方。
12月20日時点 現在 利回り上昇
10年債 2.08% 3.19% 1.11%
30年債 2.53% 4.14% 1.61%
スプレッド 0.45% 0.95%