先週の米雇用統計が良かったことを受け、原油はじめ商品価格が回復し、欧州以外の株式市場も回復している。
リスク回避の姿勢も若干和らいできているようだ。
現在の最大の懸念事項は、欧州のソブリン債危機である。
危機再燃の発端はギリシャをめぐる問題。
ギリシャは1年前にEUやIMFから約9兆円の支援を受けていたが、ギリシャの経済は一向に回復せず、債務削減もなかなか進まないのが現状。
これを受け、ギリシャの国債利回りも2年債で25.58%に上昇している。
この水準は消費者金融の金利と同じで、市場で調達しても返せない水準である。
ギリシャを助けるには、債務カットなども視野にいれなければならなくなってきたといえよう。
こうなると、ギリシャ債券を保有している欧州の銀行が損失を被ることが予想され、欧州の銀行の株式が急落している状況である。
現在、危機の連鎖として最も怖いのは、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル等支援を受けている国の債務カットが実施され、債券保有者である欧州の銀行が大きな損失を被ること。
欧州の銀行が損失を被ると、リーマンショックのような信用危機が欧州から世界に広がる可能性も否定できないので問題である。
ただ、さすがにこのシナリオはないとみる。
ドイツやフランスもそんなことはよくわかっているので、ギリシャ等支援国への金利引き下げや期間延長等ソフトな対応をとっていくであろう。
当面は欧州はごたごたするから、ユーロの更なる利上げも遠のき、ユーロは他通貨に比べ安くなっていくものと思われる。