本日付、日経新聞のマーケット欄「大機小機」に、「財政再建にもコロナの教訓」という話が載っていました。
内容は次のとおりです。
「新型コロナウィルス対策で先進諸国は莫大な財政支出を行い、財源は借金(国債の発行)で賄われた。これは結局将来世代の負担になる。そろそろ現世代は無責任な態度を改め、財政再建を真剣に考えてる時ではないか」と、
要するに増税の準備を始めろという内容です。
これを読んで、今、みんながコロナで苦しんでいる時に、財政再建が必要なのか?と怒りが湧いてきました。
確かに、昨日のブログ記事 シーゲル教授の予想 - 実践バリュー投資にも書いたように、コロナ対策で世界の政府は、莫大な財政支出(約970兆円:世界のGDPの約11%)を実施していること、この財政支出は各国の国債の発行で賄われていることは事実です。
これが将来世代の負担になるから、そろそろ財政再建を検討しなければならないと言っています。この部分が、はっ、今ですか?と疑問に感じます。
まず、コロナ危機は去ったのでしょうか?経済は回復軌道にのったのでしょうか?
まだ感染で苦しんでいる人がいます。亡くなっている人もいます。お店が潰れそうで、会社をリストラされどうで、明日の生活の目途が立たない人もいます。
その時に、増税の議論でしょうか。新聞紙面に隠れていないで、この人達の目の前でその考えを声高に言ってほしいものです。
怒りを覚えます。
ここまでは感情論です。
次にマクロ経済学的にもおかしな話を言ってます。
経済学のある本に書いてあったある一文を引用します。
「マクロ経済学とは、資金の循環を止めないようにするにはどうすべきかを考える学問」
今の世の中は貨幣経済です。物々交換の世界ではありません。世界的に不況になる時は資金の循環が止まった時です。家計の企業も資金を手元に置いて使わないようになった時です。まさに今回のコロナ危機のようにです。
これはほっといても民間主体(家計+企業)は、資金が動かしません。不安だからです。だから今、政府が借金をして、直接、民間主体に補助金という形で資金を投入して、資金を循環させようとしているのです。
現在、この資金のおかげで、当初の不安感は少し解消し、ようやく民間の資金も循環し始めています。
では、ここで今、消費税を増税するとか、数年後に所得税を上げるとか発表したらどうなるでしょう。
単純に考えて、また不安でお金を使わなくなり、せっかく回り始めた資金の循環がまた止まりかねないでしょう。
増税は資金を政府が民間から回収する行為だから、資金の循環のスピードが落ちるのは当然のことでしょう。
もう一度書きます。
「マクロ経済学とは、資金の循環を止めないようにするにはどうすべきかを考える学問」
今、増税をやっていはいけないし、増税の議論すら要らないというのは、感情論でも経済学的にも誰でもわかる話です。
お読みいただきありがとうございます。