2020年11月にPayPalで仮想通貨売買サービスを開始したが、そのPayPalが3月30日に仮想通貨決済サービスも開始した。これを受けビットコイン、イーサリアム等仮想通貨が高騰している。
PayPalは3億8千万人が利用する決済プラットフォームで年間9,370億ドル(約103兆円)の決済取扱高がある。
米みずほ証券の調査によると、PayPalユーザーの20%が2020年にビットコインを購入したようだ。これで約7,600万人がビットコインの新たなユーザーになった。
この動きが2020年後半からの仮想通貨市場の上昇を下支えしたと思われる。
ビットコインは、決済の処理件数が少なかったり、価格が乱高下するので、決済には向かないとずっと言われてきた。今回のPayPalの仮想通貨決済参入により、ビットコインで少額決済を直接処理するわけではないので、ビットコインの決済処理件数問題はなくなった。
今の取扱銘柄は、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ビットコインキャッシュに限られるようだが、今後はステーブルコイン(価格の変動がないコイン)、中央銀行のデジタルマネー等に対象を広げていくであろう。
価格の乱高下が心配のユーザーは、ビットコインではなく、ステーブルコインを持てば解決する。
仮想通貨は法定通貨と違って、法律で担保されていないから、信用力がなく、通貨としては機能しないとずっと言われてきた。
ただ、これだけのユーザーが、仮想通貨を持ち、日々の決済として利用し始めると、利用者の間では、信用力を持ち始める。
通貨の始まりは、石版、貝殻、塩だったりする。今は紙だ。もともとはそんな信用力のあるものではない。あるコミュニティでその通貨を利用する人が増えれば増えるほど、信用力が伴い、通貨としての価値を持ち始める。
今までは仮想通貨界隈の一部のコミュニティの中での信用力に過ぎなかったが、PayPalという生活を支える身近な決済手段に利用され、幅広いユーザーが利用を始めたことで、仮想通貨も大きなターニングポイントを迎えたと言える。
3月30日は、仮想通貨が仮想でなくなった日といえよう。