PE(プライベート・エクイティー)投資、ヘッジファンド投資と、CFD投資。一見かけ離れているが、マクロ的な国際金融の視点から見ると交差する点は実は多い。
本日から8日間に渡り、アデランスホールディングスTOBの個別事例分析を進めながら、この3つの投資のあり方と類似点と違いについて説明して行きたい。
09年4月16日、アデランスホールディングスが、ユニゾン・キャピタルの友好的TOBを受け入れるとの記者発表を行った。
アデランスと言えば、東証一部上場のかつらメーカー大手企業である。
また、04年10月以来、5.04%株式を保有したスティール・パートナーズから再三、経営陣刷新、経営方針刷新を求められてきた企業である事も事実だ。
以下、07年2月期から3期に渡る同社の経営実績を見てもらいたい。
売上は微減である上、当期利益は下落傾向にある。当期利益率も、3年間で8.3%から−3.1%に下落しており、EPS(一株当り純利益)もマイナスに転落してしまっている。
スティール・パートナーと言えば、メディア報道視点の影響も大きいかもしれないが、ブルドック経営陣への対応にしても、日本人的観点からは、その少々強引とも取れる株主意見表明方法などから「グリーン・メーラー」的なイメージが、少なくともあるのも事実だ。
一方で、ユニゾンの木曽氏はどうか。彼自身は、東ハトでサッカーの中田英寿氏を役員に招き、ハバネロなどのヒット商品開発の土台を構築した上で、最終的に山崎パンにExitした事でも有名なバイアウト・ファンド・プレーヤーである。
一般的な印象は正反対に近いのではなかろうか。
彼個人の限らず、ユニゾン・キャピタル自体も、多くの投資・Exit実績があり(下記同社Webページ参照)
http://www.unisoncap.com/jp/portfolio/realized.html
アデランス早川社長も、その実績と信頼をかって、今回の「友好的TOB」の相手とした、とのことだ。
事前に候補として名乗りを上げていた、カーライル・グループ、ベインキャピタルを退け、最終的にユニゾンを選択したという。