26日、ヘリコプターベンこと、バーナンキFRB議長が、米国のジャクソンホールで開催された経済シンポジウムで、注目の講演を行いました。
講演のポイントはこちら↓
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-22895720110827?sp=true
重要な部分が2つあります。
1つは、「FRBは追加的な金融刺激に使うことができる一連の手段を有している」「徹底的に議論するために、9月の(FOMC)会合日程を当初の1日から2日間(9/20、21)に延長し、これらの手段および経済・金融動向を含むその他の関連問題について引き続き協議する」という部分。
これは、QE3(量的緩和第3段)など、金融刺激策の決定を先送りしたと、とれます。迷っているということでしょう。
もう1つは、「長期的に力強い経済成長を支援する多くの経済政策は、中銀の領域外」という部分。
これは、FRBにも限界がある、財政政策や成長戦略は、政府の仕事だからと、市場がFRBに過度に期待していることに懸念を示したと、とれます。また、その後に、急激な財政再建も良くないと、政府、議会に対し、忠告しています。
このベンの発言を受け、市場の期待は裏切られたと、一時NYダウは200ドル下落したものの、9/20、21のFOMCで、追加の金融刺激策の道もまだ残されているとの見方も出て、結局134ドル高で終了しました。
今回、市場はベンの肩すかしにあったということでしょう。ベンとしても、先を急がず、政府にも考える時間を与えたと。
懸命な判断です。
ただ、ここまでくると、次回FOMCで何らかの政策を出さないと、市場の洗礼を浴びることになるので、次回は何らかしらの政策を打ち出すと思われます。
今回の件をみて思うのは、米国は打つ手がなくなりつつあるということです。
議会は財政再建の方向で、短期的な財政刺激策が打ち出せないこと、頼みのFRBも打つ手がなくなりつつあるということです。
いよいよ、米国の景気減速も現実味を帯びてきました。バランスシート調整でデフレ不況に陥った日本をみているかのようです。
ドルの下落に象徴されているように、米国の弱体化が始まっているということです。
逆に、米国の最大の債権者である中国は国内にバブルなど問題を抱えながらも、力強い成長を続け、経済力もさることながら、軍事力も米国に近付きつつあります。
米国に財政再建のために軍事費を削減しろと言っているくらい強気です。
先日、米ハイデン副大統領が、中国を訪問して頭を下げている様子をみると、これがあのアメリカの姿かと情けなく思います。
それほど、米国の国力がなくなったということでしょう。
今すぐではないですが、イギリスから米国に覇権が移ったように、米国から中国へ覇権が移る日が遠からずして来ると感じさせられました。
日本も政権を安定させ、米中との距離感を上手く保ちながら、この大きな世界の流れに付いていかないと、大変なことになるかもと思う次第です。
次の首相、頼みますよ。鳩山、菅のように、もう肩すかしはありえませんよ。