プライマリーバランス黒字化、財政黒字化を実現しようと、コロナが落ち着くと、政府は歳出削減、増税を続けていくように思えます。
歳出削減、増税をすると、景気は明らかに悪くなり、税収が落ちると思えますが、そのやり方で、財政黒字化は可能なのでしょうか。
以下のように考えていきます。
国内だけを想定すると、国内民間部門の収支+国内政府部門の収支=0 が成り立ちます。
誰かの黒字は誰かの赤字なので、民間部門が黒字だと、政府部門が赤字。また、その逆も言えます。両方の部門が黒字になることはありません。
実際には、国内部門だけではなく、ここに海外部門の収支が加わります。
国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支=0 が成り立ちます。
ここで海外部門の収支が黒字になる時は、経常収支が赤字になり、海外から資金が入ってくることを指します。
グラフをみると、1980年後半から1990年にかけて、国内政府部門の赤字が急激に縮小して黒字化(+)し、海外部門の赤字も縮小(+)しています。
3部門の収支の合計はゼロだから、その裏返しで国内民間部門は急激に赤字が増大(ー)しています。
これは、因果関係が逆で、国内民間部門の借入を伴う旺盛な需要により、国内民間部門の収支の赤字が増大(ー)したが、海外部門の赤字の縮小(+)では補えず、結果、国内政府部門が黒字化(+)したと言えます。
国内政府部門の黒字化(財政の黒字化)は、国内民間部門のバブルの裏返しであり、決して喜ぶべきものではありません。
もし、そんなに財政の黒字化を目指したいなら、歳出を切り詰め、税金を上げるより、国内民間部門にバブルを起こせば良いのです。この方が目標を確実に実現できるし、国民にも受けいられやすいでしょう。
でも、バブルを起こすことにあまり意味はありません。
そもそも、プライマリーバランスの黒字化や財政の黒字化の目標設定すること事態が間違っているのではないかと思います。
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