- 米財務省が3月16日に発表した1月の海外投資家による対米証券投資は1,489億ドル(1ドル100円換算で14兆89百億円)の売り越しと、過去最大の流出となった。
- 対米証券投資とは、米国の証券(国債、社債、株式など)への海外からの投資額であり、プラスの場合は、米国への投資意欲が旺盛(ドル買い)、マイナスの場合は、投資意欲が減退(ドル売り)しているということである。
- 米国の月の貿易赤字はピーク時には約6兆円、直近でも約3.5兆円になっており、この赤字分は海外からの投資によって資金を調達しているのである。単純にいえば貿易赤字分資金調達できていないと、米国自身で更にドルを供給しなければならず、ドル売りにつながる。
- 昨年の3月、7月は(対外証券投資−貿易赤字)が大きなマイナス(約1兆円)になっており、今年の1月は過去最大で約2兆円のマイナスとなっている。貿易赤字はピーク時より半減させているが、それ以上に海外に資金が逃避しており、非常に苦しい米国の現状がかいまみれる。
- 住宅指数が底を打った、株式市場は底を打った、2010年には景気は底入れする等最近楽観的な報道が続いているが、対米証券投資一つとってみても米国の現状は決して楽観できないと考える。楽観的な報道が続く時は逆に売りなのである。