7/5の1時間内に以下の3つの中央銀行が同時金融緩和を実施した。
1.ECB 0.25% 利下げ ただ、南欧国債の買入再開や長期資金の大量供給は実施せず
2.イングランド銀行 量的緩和 国債買い取り6.2兆円拡大
3.中国人民銀行 貸出金利引下げ 6.31%→6% (下限 基準金利の0.8倍→0.7倍)
立て続けに、金融緩和をしなければならないということは、よほど、実態経済が悪いということ。
先週末の米国の雇用統計も悪い。小売売上高も伸びず、さすがの米国の消費も冷え込んできた。
元気なのは、東南アジア、オーストラリアくらいか。
一方で、人民元の国際化の動きが早い。少し流れを追ってみると、
2011.12.25 日中国債持合いで合意
2012.4.14 人民元の対ドルの1日あたりの変動幅拡大(0.5%→1%) 5年ぶり
2012.5.10 中央銀行による為替管理方式の改善を進め、為替介入の頻度を減らす
2012.6.1 円と人民元の直接取引開始
2012.6.21 BRICS と 通貨スワップ協定網構築で合意
2012.6.22 中台での直接取引開始
2012.6.28 香港と中国本土市場のETFを相互上場
2012.6.29 外国中銀に人民元建て国債販売
中国は約200兆円の外貨準備を保有しており、うち半分がドル資産(米国債等)。ユーロの比率も多い。せっかく輸出で稼いだ外貨であるが、ドルやユーロをもっていても、金利もつかず、為替の下落で為替損がでるばかりである。
そこで、外貨準備の通貨をドル、ユーロ以外に多様化をするとともに、貿易で人民元建て決済を増やし、人民元建てを準備通貨として使ってもらおうという考えである。
人民元建ての取引が増えれば、現在のように中国がドル等為替リスクを追わなくてもよくなる。
この流れで、人民元建債券や人民元建預金など、これから、個人にも人民元建の商品が多く提供されることとなろう。
中国はだまってても、この10年で世界一の経済大国になることは間違いないだろうし、経済成長に伴い通貨の価値も上がっていくだろうから、人民元の価値もあがっていくであろう。日本がそうであったように。
個人のポートフォリオは、ドルやユーロの比率が多く、人民元を保有している人は少ないであろう。これからは、成長するアジアの国際通貨にもっとも近い位置にある人民元を、一定比率ポートフォリオに組み入れる必要があると思うのだが。