一般的に複利効果を最大限利用するのであれば、途中売却をせずに、投資元本をどんどん膨らませていく必要があります。途中で一部でも売却すれば、その売却部分のリターンは得られなくなるからです。
例えば 100万円を利回り5%の投資信託で5年間運用した場合を考えてみましょう。
1.分配金を運用利回り分だけ、年に1回出す投資信託の場合
1年間運用すると、100万円×1.05=105万円となり、5万円の分配金が出て1年目終了時の投資元本は100万円になります。2年目も同じく100万円×1.05=105万円となり、5万円の分配金が出て、2年目終了時点の投資元本は100万円になります。このように毎年繰り返して、計5年間投資すると、運用益は、5万円×5年=25万円になります。
2.投資元本から分配金を出している投資信託の場合(実際は5%の運用しかできていないのに、10%の分配金を出しているファンド)
1年間運用すると、100万円×1.05=105万円となり、10万円の分配金が出て1年目の終了時の投資元本は105万円−10万円=95万円になります。利益は5万円です。ここで2年目の運用にあたり、1年目の投資枠が5万円空いたので、この投資枠が使えるのかというと、投資元本から払い出した分配金5万円は、売却とみなされて、投資枠としてはもう使えません。よって、2年目の投資元本は95万円でスタートします。95万円×1.05=99.75万円となり、10万円の分配金が出て、2年目終了時点の投資元本は99.75万円−10万円=89.75万円になります。運用益は99.75万円−95万円=4.75万円です。このように毎年繰り返して、計5年間投資すると、運用益は22.4万円になります。
3.分配金再投資型の投資信託の場合
1年間運用すると、100万円×1.05=105万円となり、5万円は一旦分配金を出して、再投資する形をとるので、1年目の終了時の投資元本は105万円ではなく、100万円となります。これを毎年繰り返して、計5年間投資すると、運用益は1と同じく、25万円となります。1との違いは、再投資する5万円は次の年の投資枠を使う形になるということです。
4.分配金を出さない投資信託の場合
1年間運用すると、100万円×1.05=105万円となり、分配金は出さないので、1年目の終了時の投資元本は105万円になります。2年目も同じく105万円×1.05=110.25万円となり、分配金は出さないので、2年目の終了時の投資元本は110.25万円になります。このように毎年繰り返して5年間投資すると、運用益は100万円×1.05×1.05×1.05×1.05×1.05=127.6万円−100万円=27.6万円 になります。
このように、分配金を出す投資信託(1、2、3)の場合、非課税投資期間中に一部売却する仕組みとなるので、複利効果を最大限活用することはできません。
4のように分配金を出さない投資信託の場合、非課税投資期間中に一部売却は伴わないので、複利効果を最大限活用でき、NISA(ニーサ)に最も適した運用法と言えるでしょう。