先日、国内初のIEOがコインチェック取引所で実施された。
IEOとは、トークンを新しく発行して資金調達する手段で、ICOのようなもの。
ICOは数年前は活況を呈したが、資金調達してから運営主体がいなくなるとか、発行者側が上場して高値で売り抜けるとか、詐欺まがいの行為が多発して、投資家が警戒し、下火になっていた。
IEOとICOの違いは、取引所が投資家と発行体の間を取りもつか、取りもたないかである。
当然だか、IEOは取引所に資金調達にかかる手数料が払わなければならないが、取引所が関与することで一定の信頼感が得られ、資金が集まり安くなる効果がある。
詐欺まがいの行為も起こりにくい。
今回のIEOは、コインチェックが介在したことで、非常に上手くいったようだ。
当初9億円程度の調達を目安としていたが、実際は224億円の申し込みがあり、抽選での購入となった。
上場後もその人気は続き、パレットトークンの公募価格4.05円から一時94.8円(23倍)まで高騰した。
現在は63円で横ばいとなっている。
ここまで人気となり、224億円と巨額の資金が集まった理由はなんなのか。
もし、同じこの企業が、ベンチャーキャピタルなど投資家から資金調達した場合、ここまでの巨額な資金が集まっただろうか。
そもそも一般の投資家がこのような非上場のベンチャー企業に投資をする機会はこれまで提供されてこなかった。あるとしてもほとんどが詐欺みたいなものだった。
今回、取引所のコインチェックが間に入って、ベンチャー企業に一定の信頼感を与えるながら多数の顧客に宣伝を行った。
このような投資機会がなかった投資家にその機会を与えたことが今回の巨額の資金調達につながったのであろう。
これまで、ベンチャーは資金調達が難しいとか、ベンチャー企業に投資ができる投資家がいないとか、言われてきた。
だが、今回の件で、ベンチャー企業に投資可能なリスクテイクできる一般投資家は大勢いるし、その幅広い投資家にしっかり告知できれば巨額の資金調達も可能と証明された。
今回のコインチェックの国内初のIEOの取り組みは、日本の資本市場を根底から変える可能性を秘めていると感じた。