LINEが提供するスマホ投資サービス「LINE証券」で、新たにSTO(セキュリティトークンオファリング)サービスが提供されることが5月31日分かった。
今回は、個人向け公募引受型デジタル債を販売する。
これまで日本で販売されたSTOは、適格機関投資家などを対象とした私募・公募によるのものであり、個人向けは初とのこと。
サービスは野村、日興、SBI証券、みずほ信託などが担いでいる「ibet for Fin」を利用。このサービスにはエンタープライズ向けブロックチェーン基盤「クオーラム(Quorum)」が採用されている。
今回のセキュリティトークンの発行体はスパークスで、野村證券が引受およびスキームの構築をはじめとするフィナンシャルアドバイザーを担当する。
償還予定日は発行から1年後の2023年6月23日となっており、発行額は10億円。
各社債の金額は5万円以上で年率は2.50%とのことだ。また手数料は発生しない。
いよいよ、個人向けに本格的なセキュリティトークンの販売が始まった。
これ購入する人から見たら、これまでと何ら変わらないように見えるであろう。
これまでも社債を購入しても券面の現物は発行されないから、セキュリティトークンになっても変わらない。
ただ、資金決済はこれまで、約定の後+何営業日後とタイムラグが生じていたが、セキュリティトークンの場合、ほふりという中央集権的な決済機関を挟まないため、ここはほぼリアルタイムになるはずである。
また、引受側からすると、直接ブロックチェーンにデータを書き込み、利払いなども自動でブロックチェーンのスマートコントラクトで管理されるため、事務作業が大幅に削減される。いくら小口化しようが、コストはほぼ変わらない。そしてそのコスト削減部分が顧客に転移できれば、リターンも上乗せできるし、購入単位も小さくなるので、購入側にとって、このメリットは大きいであろう。
今回その成果として1年2.5%で運用できる債券で5万円からと小口で購入できるようになった。よって、LINE証券で口座開設している若い人でも手軽に購入できると言うことだ。
今回の社債だけでなく、色々なものをセキュリティトークン化できるので、資金調達手段が広がるし、運用する側の運用の方法も広がる。WinWinの関係ではないか。
この試みを皮切りに、日本でもセキュリティトークンが本格普及すると嬉しい。