訪中しているブラジルのルラ大統領は19日、北京で中国の胡錦濤国家主席と会談し、資源や金融など幅広い分野で協力を強化することで合意、両国にロシアとインドを加えた新興四カ国(BRICs)の連携を強めることでも一致した。
資源分野では、中国の政策金融機関、国家開発銀行が、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスとの間で、油田開発資金などとして10年間で100億ドル(約9600億円)を融資する契約を結んだ。見返りにブラジルは中国への原油輸出を拡大する。
近年ブラジルと中国の貿易が急増、今年4月の対中国貿易額が始めて30億ドルを突破して32億ドル(約3200億円)を記録、初めて対米貿易額(28億ドル)を超えて、中国が最大の貿易相手国となった。中国は主に鉄鉱石、大豆等一次産品輸出拡大がめざましく、中国ブームに沸いている。中国にとってもブラジルは重要なパートナーだ。ブラジルは世界最大の鉄鉱石生産国であり、世界の鉄鉱貿易の三〇%弱を占めているが、2003年末に中国最大の鉄鋼メーカー上海宝鋼集団公司は、ブラジルの世界最大の鉱山会社バーレ・ド・リオドーセ社(CVRD)と2006年から10年間にわたる長期契約を結んでいる。
今回は資源だけでなく、両国の中央銀行間の協力を強化することを盛り込んだ。4月にブラジルは中国との貿易決済を従来の米ドルを介する方法から転換、ブラジルの通貨レアルと人民元で直接行えるよう協議する考えを明らかにしているいるので、今回はその準備を進める方向で合意したとみえる。
両国の貿易額は2008年に約4兆7千億円で7年間で10倍以上の伸びである。貿易決済にドルを使わないとなると、これだけのドル需要が喪失することとなる。4月のG20では、ロシアが新たな通貨の創設を提案、中国はIMFの準備通貨であるSDRを基軸通貨に育てる構想を打ち上げ、ブラジルもドルに頼らない新たな仕組みを作り出す必要があると訴えている。
BRICsによるドル外しは貿易決済という実需面で着々と進みつつある。基軸通貨を失えば、米国は世界の覇権を失うのである。
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